雑煮

小学校4年の正月、祖父が云った。


「元旦に自分の歳だけ餅を喰うもんなんじゃ」
「おじいちゃんは70も食べるの?」
「20歳までじゃよ」


以来、1月1日の朝、歳の数だけ餅を食べるのがわたしの楽しみとなった。
小学生の頃は必死で食べた。中学・高校の頃はペロリと食べてしまい、ほんとうはもう少し食べたかったがきっちり数を守るため我慢した年もある。
19歳の時が一番きつかった。バスケをやめて明らかに運動量が落ちていたし悩める時期でもあった。14~15個ですでに限界。額から汗は流れ自然と呻きが洩れる。母が無理はやめなさいと言葉を掛けるが私は頑なだった。

どんぶりのようなお椀に2つずつ入れてた餅を1つずつに減らし、流し込むようにしてどうにか食べ終えた。正直、来年は無理かなと本気で思ったが、どうゆう訳か翌年はするりと平らげてしまった。


雑煮は字の如く、正月を祝ってごった煮するからこそ雑煮なのだが、母の作る雑煮は超のつくあっさり系。大量の昆布とかつを節で出汁をとり、醤油と塩だけで味をととのえる。なぜか酒もみりんも入れない。具は鶏のささみと切り三ツ葉のみ。金が無く具が買えなかった時代の産物らしい。そんなシンプル極まりない雑煮だからこそ、歳の数だけ食べ続けることができたのかもしれない。


むかしの人は正月7日の七草粥までおせちを喰い続けたというが、わたしもまた雑煮だけは餅が切れるまで喰い続ける。だが今年、異変が起きた。ぜんぜん餅が減らないのだ。買い過ぎたという訳ではなく、もちろん誰かが足してる訳でもない。

わたしの食べる量が愕然と少なくなってしまったのだ。元旦に8つ。2日の朝に8つ。3日の朝は6つしか食べることができなかった。

きのうは12と少し盛り返したが、それでもまだわたしのために用意された餅は少なく見積もってもあと50個ぐらいはある。

ということは、あと1週間ぐらいは雑煮を食べ続けるということか・・。嬉しいような情けないような2006年の正月なのである。

 

 

 

 

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