コンテナハウス
八ヶ岳の別荘地に建つ週末住宅です。
建て主は東京都・中央区に住むファミリーで、こどもが自然に触れる機会を増やしたいと、この土地を購入しました。
建物ははじめからコンテナハウスにする予定で相談に来られたのですが、我々が一度もコンテナを扱ったコトがないことに、むしろ喜んでいました。初めての方が面白いモノができると確信されていたのです。
その甲斐あってか本当に新しいカタチが生まれました。コンテナの扉を活かす方法です。
コンテナは初めてなので本を読んだりネットで検索したり施工業者の実例を見学したりしましたが、当時のコンテナハウスの多くは単体で使用か、連結の場合も電車のように短手方向をつなげる手法ばかりでした。
そして開口部は長手方向の壁。扉は出入口にすら利用されていませんでした。考えてみれば当然です。コンテナの扉は外側からしか開閉できないからです。
しかしこの建物は別荘。週末住宅です。ほとんどの時間は使われずに過ごすのです。防犯が気になります。
一方、使う時は自然を満喫したい。部屋のどこからでも木々や外の景色を見ていたい。だから 窓は大きくしたい。その矛盾を解決するのがコンテナの堅牢な扉です。
そのアイディアに気づいた時、まさにコロンブスの卵だと思いました。ありそうで誰もやっていないコト。
この建物は押山祐二建築デザイン事務所との共同設計です。
上/コンテナの扉を閉めた状態。 条例でフラットルーフが禁止されていたので 仕方なく勾配屋根を設けました。
中/扉を全開にしたところ。可能な限り大きなサッシュをはめ込んでいます。
下/扉の詳細。本物が持つ無骨さがカッコイイ。
玄関廻りもコンテナの無骨なイメージに合わせ極力装飾を省いています。
階段はコンテナ本体に溶接。キャンチレバー構造とし、地面から浮いています。
照明器具はいつもの松本船舶マリンランプ。
シンプルな内装に家具類はほぼIKEAですが、薪ストーブだけはデンマークのSCAN社製62CB。すべて建て主セレクトです。
赤い扉の奥が寝室。青い扉が洗面室、浴室などの水廻りです。そう、住宅ですから風呂も洗濯機置き場もスマートに確保しています。
写真左:キッチン。小窓の先に見えるのが木々のこぼれ日という贅沢。
写真右:寝室。コンテナ1つ分なので約8.5畳。窓と反対側の壁面にクロゼットを設け、下段にはキャスター付き折りたたみベッドを収納できるようにしてあります。
コンテナの扉が外部からの視線をカットしてくれるのは嬉しい誤算でした
テラスの奥行きは約3メートル、長さは12メートル以上。コンテナの扉を開けた状態でもBBQなどが出来るよう設計しています。