春雨サラダ
先日、新宿の本屋でタイ料理の本を一冊買った。
タイ料理は1993年にバンコクへ旅行する以前から好きで、帰ってきてからは滅茶苦茶好きな料理の一つとなっている。
いい教科書がないものかと、本屋に行く度にエスニック料理のコーナーを覗いてみるのだが、どれも宮廷料理ぽかったり、作る際にやたらオーブンを使用していたりして、わたしの求めている素朴で家庭料理風のタイ料理にはなかなか巡り会えなかった。
そんな中で、Ms.ワサナの本は家庭料理風、素材も作り方も背伸びをしないですみそうなところが気に入った。
さて、春雨サラダ。我が家では別名パクチー・サラダ。タイ料理の時には必ず食卓に並ぶわたしの大好物なのだが、ワサナのそれは材料も作り方もまったく違うので驚いた。
わたしのはテニスで知り合った東京在住のタイ人女性に直接教わった方法である。
赤唐辛子4~5本を糸のように細く小口切りにし、ゴマ油で合い挽きとにんにくを弱火でじっくり炒め、塩胡椒と少量のナンプラーで香りをつける。ピーマンと人参は同程度の長さに千切りする。春雨はさっと茹で、冷水にとってから適当な長さに切る。はじめに水でもどしておくかどうかは忘れた。以上を大きなバットの上でよく混ぜ合わせ、ゴマ油レモン汁ナンプラーをからめてから皿に盛る。暑い時期なら酸味と辛味を倍増するためにプリッキーヌ・ナム・ソムを加えるとよい。仕上げに、これでもか!というほどのパクチーで覆いかくせばナカジマアレンジの春雨サラダの出来上がりである。
一方ワサナレシピは・・。本を買って読んでいただければ済むことなのだが、簡単に書くと。
まず材料からして違う。鶏胸肉、豚ロース霜降り、海老,干し海老、にんにく、生きくらげ、赤小玉ねぎ、万能ねぎ、パクチーに春雨の豪華版。
沸かした湯に、海老、鶏、豚の順に同じ鍋で湯通しし、最後に十分程水でもどしておいた春雨をさっとくぐらせる。結果、春雨自体に旨味がしみ込む。それらを、素揚げした干し海老、炒めたにんにく、その他の材料と混ぜ合わせナンプラー砂糖レモン汁で味を整える。材料がいいだけにコクのある一品に仕上がる。
ところで、パクチーはなぜかようにも高価なのであろうか。
タイ語でパクチー、英語でコリアンダー、漢字で香菜、中国読みでシャンツァイ。ナンプラーとともにタイ料理に欠かせないこの草は、なかなか売っていないばかりでなく、見かけても買うのに躊躇する値がついていることが多い。
姿カタチは三つ葉に似ているが、値段はその半分か1/3の量で倍はする。つまり最低4倍の値がするわけだ。
青山のとある有名店では4~5本で560円というのを目撃したことがある。日本での栽培に成功していないのか輸入が難しいのかは知る由もないが、独特な香りと旨味があるとはいえ、たかが草に毎度大枚を叩くわけにもいかない。
そんな折もおり、相棒がパクチーの種をみつけて買ってきてくれた。さっそく小さな鉢に種をまき、せっせと水をやる毎日なのである。
自家製パクチーを気兼ねなく料理に使える日がくることが、もっかわたしの楽しみなのである。