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麻婆豆腐

あなたの家のキッチンにはなぜ物が溢れているのか?
ひとつには狭いというのがある。もうひとつは物自体が多いというのも事実。ではなぜ物が多いのか?

日本は海外の食文化を取り込むキャパが広い。外食はもとより家庭でも頻繁に和食以外の料理が登場する。日本ではあたりまえでも多くの国では違う。

インドでは毎食カレー。朝からカレー。中国も三食中華。イギリス料理は不味くて有名だから毎日イギリス料理なのかは知らないが基本的にはヨーロッパ料理。調理道具やプレートは同じだ。アメリカに至っては毎日ハンバーガーだからプレートは1枚あればこと足りる。4人家族なら一家に4枚。


しかし日本ではカレーがあり中華がありサンドウィッチを食べる。フレンチも作るし石焼ピビンパも食べる。加えて潔癖な日本人のこと、道具や器もそれぞれ用意してしまう。広いキャパシティが狭い部屋を浸食しているのである。

カレーライスやとんかつと並び麻婆豆腐は家庭料理の定番中の定番。むかしは母の作る麻婆豆腐を旨い旨いと疑うことなく食べていたが、海外へ行ったりバブルを経験し本場の味を知ってしまうともう戻れない。輸入食材店で調味料を揃え花山椒をしこたま振りかけ家で実験。

しかし、初めは似た味を出せたものが、微妙な差が時間とともに拡大し、気がつくと本場と母の中間といった出来になってしまう。矯正するにはまた本場を味わえばよいのだが、東京といえどもおいそれとは無い。

しかし最近にわかにブームなのか、麻婆豆腐をウリにしている店を見かけるようになった。


先日、新宿高層街の一角で麻婆豆腐を食べた時のこと。
昼の12時半頃店に着くと長蛇の列。本屋で時間を潰し1時過ぎに再び店へ。すぐに席に通されメニュウを待っていると、まず水が運ばれ、次に漬け物らしき物とスープが置かれる。


「え?」


次に来た人にメニュウを頼もうと思ったら、ごはんの入ったプラスチックの櫃を置いて、すかさず別の人が麻婆豆腐を運んできた。席に坐ってから麻婆豆腐が出てくるまで約50秒。
麻婆豆腐以外を頼もうと考えてた相棒は唖然。

しかも「いらっしゃいませ」でもなければ「どうぞ」でもない。水から麻婆豆腐が運ばれるまで誰ひとりとして言葉を発せず。無言。無言。無言。これを中国人の超合理性というべきか単なる不愛想というべきか・・。


花山椒の利いたちょい辛味はまずまずだったがあのサービスの無いサービスを抜かしても、相棒ともども赤坂に軍配を上げた。


ところで、麻婆豆腐を食べると痩せそうな気がするのはわたしだけだろうか。滴り落ちる汗、食べた後の爽快感。まるでサウナに入った後のように身体が軽く感じられる。カプサイシンはダイエット効果があるというから、続けるといいかもしれない・・。
そうそう、時々麻婆豆腐と白いごはんを一緒に食べる人を見かけるがあれは止めておいた方がいい。辛さも香りも半減してしまう。ごはんに麻婆豆腐をかけるより、交互に食べた方が確実に旨い。お試しあれ。

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