おべんとう

鶏のから揚げ弁当といえば定番中の定番だが、わたしが小学生の頃はそうでもなかったのかもしれない。なぜなら、遠足や修学旅行などに持ってゆく度に友人たちに交換してくれとせがまれたのをよく記憶しているからだ。


わたしが育ったのが東京の下町だったからかもしれないが、焼き鮭や魚のフライ、ソーセージなどをよく見かけたし、あるいは当時全盛を誇ったレトルトのハンバーグやミートボール、なかにはカレーのパックをそのままという豪快な家もあった。


我が家の弁当はいつも同じ。
鶏のから揚げ・卵焼き・茹でたいんげん。

それに大きめのおにぎりが2つか3つ。


鶏はもも肉ではなくささみ。それを生姜醤油に漬けこんでから揚げる。だから竜田揚げにちかい感じだ。卵焼きはだしも砂糖も入れず塩だけでしっかり固めに焼きあげる。いんげんも塩茹でのみ。おにぎりは海苔で覆われ白米が見えない。どこから見ても真っ黒で、知らない人はギョッとする。
家を出て自分でつくるようになってからもできるだけ母の弁当を再現している。

毎年1~2度は相棒と二人で海へ行った。いつもの弁当+サラダとチーズ。スパークリングワインとコットンの敷物、それに文庫本一冊を持っていくのがいつものパターンだった。

さすがに子供が生まれてからは海に行く回数は減ったが、かわりに公園に行く回数が増えた。


娘が生まれて丁度1年を迎える頃、相棒の実家に初めて娘を連れていった。
それまで高速道路のサービスエリアは単なる待ち合わせ場所かトイレ休憩ぐらいにしか思っていなかったが、屋外に気持ちのいい場所があることを知った。行きは弁当をつくり、その気持ちのいい芝生の上で食べたが帰りはそうもいかない。相棒の実家とは云え、時間の限られてるなか慣れないキッチンでつくるのは憚られる。しかしだからといって、あの殺伐としたサービスエリア内で食べるのも、サービスエリアの平面的な味を食べるのも気が進まない。1歳前の幼児に相応しい物があるかも疑わしい。
その時ピンと閃いた。

デパートならあるはずだ!


斯くして、京都四条河原町のデパートに立ち寄り、無添加減農薬の総菜類を買い込み、サービスエリアのいいところだけお借りして帰ってきた。
しかし実際のところ、そこまで拘らなくてもいいのかもしれない。ただのコンビニ弁当でも解放的な屋外で食べるということが気持ちのいいことなのだから・・。

 

 

 

 

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