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黒米​

黒米なるものを初めて食べたのは今年の6月初旬だった。相棒が帰省し、おみやげに丹波の黒米を持って帰ってきたのだった。
研いだ白米に少量の黒米を加え炊き上げるとまるで魔法のようなことが起きる。ほんの少ししか入れていないのに全体が鮮やかな紫色に染まり食感は赤飯のようだ。発芽玄米のようなプチプチ感もある。滋味深い味わいに、世の中にはつくづく旨いものがあるものだと感心してしまった。
高価な食材や稀少な珍品というのではなく、産地では市井の人が普通に食べているにも拘わらず初めて出会った食材や調理法にはある種の感動がある。
櫃まぶし・う巻・治部煮・すぐき・へぎ蕎麦・すっかんぼ

どれも20代後半になって初めて知った味だ。


先日、残りごはんでチャーハンを作ろうとした時のこと。
白米の他に黒米も少し残っていたので合わせて作ることにした。いつものようにレンジでごはんを温め熱々の中華鍋に入れる。が、ひと振りしたところで失敗に気がついた。黒米は餅米なのだ。どんなに振っても叩いてもいっこうにパラパラしてこない。それどころか段々ダマになっていく。斯くして団子のようなチャーハンが出来上がった。

それにしても丹波とは恐ろしいとこだ。なにもかもが旨い。黒米・黒豆・松茸・筍・山の芋・山菜・銀杏・栗・・。

猪を送ってもらったことはないがきっと絶品に違いない。


フランスワインの銘醸地ブルゴーニュはブドウ畑のエリアによって格付けが決まっている。だから誰がどんな風に作ってもプルミエクリュの畑からは1級格付けの称号がもらえる。

「育ち」は関係ない。「生まれ」が全てなのである。生産者であるシャトーごとに格付けされているボルドーとは対照的だ。
もし、日本の産地にも格付けがあるとしたら、丹波は間違いなく特級、つまりグランクリュなのだろうと思う。

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